【公開日:2023年4月19日】
ChatGPTは豊富な知識を元に幅広い分野の回答ができるため、Q&Aの文章生成にも応用できるのでは?と考えている方も多いのではないでしょうか?一方で、各種メディアの報道などでも言われている通り「もっともらしく間違った回答をする」ことも事実です。
しかし、実は結論「ほぼ正しい内容にできるChatGPTによるQ&Aの作り方」があります。
- Q&Aの作り方、FAQの作成手順
- ChatGPTを活用したQ&Aの作り方
- ChatGPT利用時の注意点(業務利用はAPI版の利用を推奨)
これら全般をまとめていますので、過去にQ&Aを作るための作業負荷の高さに苦労をした経験がある方や、これからQ&Aを作ろうとしている方は、ぜひ最後までお読みになり、参考にしてみてください。
目次
ChatGPTを活用したQ&Aの作り方
Q&Aはどのような作り方が基本で、ChatGPTにより何を大幅に改善することができるのか? ここではQ&Aの作り方の基本と、ChatGPTを用いた効率的で効果的なFAQ作成プロセスについてお伝えします。
Q&Aの作り方の基本
まずQ&Aの作り方の基本についてです。
1)過去の問い合わせ履歴がある場合は内容を参照し、傾向を把握できるボリュームがある場合は、問い合わせの傾向を分析して作成するQ&Aを決めます。
2)過去の問い合わせ履歴がない場合や、網羅性に欠ける場合は、業界の一般的な質問や、質問をよく受けたことのある経験者の情報を元にリストアップします。
3)これらリストアップしたFAQ(よくある質問)の質問例を元にQ&Aの文章を作成します。
これがQ&Aの作り方のおおまかな流れです。
ChatGPTを活用した効率的なFAQ作成プロセスとは?
ChatGPTを活用することで、Q&Aの作り方のスピード感や網羅性を大きく変えられます。基本的な手順は一般的なQ&Aの作り方と同じですが、各ステップ内でChatGPTの活用ができます。
1)ChatGPTを活用して、問い合わせ履歴を元にQ&Aを作る
2)よくある質問(FAQ)の網羅的なリストアップ
業界の一般的なQ&AをChatGPTに聞いてリストアップすることが可能です。
3)Q&Aの質問文、回答文を自動生成。簡潔な文への要約が可能。
これらのQ&A案からの文章作成をChatGPTに依頼し、自動生成された回答をよくチェックを行い修正が必要であれば修正を行い、FAQのリストに追加します。
こうすることで、従来はすべての手順を手作業で行っていたQ&Aの作成にChatGPTを活用することで、従来に比べて圧倒的に効率的かつ効果的にFAQを構築できます。
1)ChatGPTを活用して、問い合わせ対応履歴を元にQ&Aを作る
ChatGPTを使用して、過去の問い合わせ対応履歴を元にQ&A案のリストアップや、Q&Aの文章を自動生成することが可能です。過去の問い合わせ対応履歴とは以下のようなものがあります。
- メールで受信した質問、送信した回答の履歴
- チャット上での質問と回答のやり取りの履歴
- 質問への回答者からヒアリングした、よくある質問とその回答の情報が含まれたドキュメントのテキスト
これらの履歴から問い合わせの傾向や頻度を把握し、より効果的なFAQの構築が可能になります。
2)よくある質問(FAQ)の網羅的なリストアップ
業界や業種や特定の部署(総務部、情報システム部など)に対してよくある質問をChatGPTなどの生成AIに依頼してリストアップできます。以前であれば、一から履歴を調査したり、経験者や関係者にヒアリングをしないと、Q&A作成のヒントすら無かった情報について、情報がない場合も一般論としてのリストアップが可能です。重要な質問を漏れなくリストアップすることが大切です。
ChatGPTに情報システム部門に多い質問のリストアップを依頼した例
3)Q&Aの質問文、回答文を自動生成。簡潔な文への要約=ほぼ正しい内容で作成可能
Q&Aを誰もが理解しやすく、簡潔な文章で書くことは意外と難しいことです。
ChatGPTは要約が得意分野の一つです。例えば、走り書きで書いたようなQ&Aの下書きの文や、既存のQ&Aの質問文や回答文を分かりやすく簡潔に作成し直すことも簡単にできます。
ChatGPTを元ネタの内容がある状態で要約に使うメリットは「正しい内容を元に要約」するため、間違った内容に仕上がる可能性がかなり低くなる点です。
一般論を回答させるような問いかけをしてしまうことをしなければ「間違った内容をもっともらしく書いてしまう」ChatGPTの弱点を発生させずに済みます。つまり元ネタの情報さえ渡した状態で作成すれば「ChatGPTでもほぼ正しい内容で回答を作成」できます。
「ChatGPTは適切に使えば精度の高い応答が得られる」ことを理解して活用できるようになることが重要です。既存のQ&Aや、自身が書いたQ&Aが、冗長な文章になっている場合にもお薦めの活用法です。
ChatGPTで作成したQ&Aの活用方法
ChatGPTで作成するQ&Aは以下のような活用ができます。
カスタマーサポートのメール・チャット返信テンプレート
ChatGPTで作成したQ&Aを活用して、カスタマーサポートのメールやチャットでの返信テンプレートを作成することができます。これにより、効率的かつ一貫性のある対応が可能となります。
お問い合わせの内容の一つ一つの違いを理解して、最適化した回答を返信することは大事ですが、文章を毎回一から作成していては、膨大な時間を消費してしまいます。
特に頻度が多いことが判明している質問については、Q&Aで返信テンプレートを用意することで、質問の返信スピードを上げることが可能です。
社内ヘルプデスクでのQ&Aのナレッジベース化
ChatGPTで作成したQ&Aを、社内のヘルプデスクのナレッジベースに組み込むことで、最適な解決策を探しやすくなります。これにより、情報を探す側の探す時間、答える側の問い合わせ対応時間の短縮による業務効率化が期待できます。
- SlackやTeamsなどのチャットの質問と回答の履歴
- 社内のメールの質問と回答の履歴
などからQ&Aを作成し、ナレッジベース化し、自社の環境に合ったアクセス方法(チャットボットやFAQ検索システム等)で活用できるようにします。
営業・CSなどの顧客窓口でのQ&Aのナレッジベース化
ChatGPTで作成したQ&Aを、営業やカスタマーサポートなどの顧客接点の窓口のメンバー間でのナレッジベースに活用できます。
- 頻度の多い対応パターンの手順の定型化
- 多数の製品ラインナップがあるときの対応の補助
- 頻度が少ないがために覚えきれない知識の補助
これらのケースで活用し、顧客対応の効率化や対応品質の向上を行うことで、顧客満足度の向上が期待できます。
チャットボットでQ&Aにアクセスしやすくする
ChatGPTで作成したQ&Aを、チャットボットやFAQシステムに組み込むことで、社内のメンバーが簡単にアクセスできるようにしたり、顧客向けに公開して、よくある質問の自己解決手段を提供することができます。
ChatGPTのAPIと接続されたチャットボットを活用することも可能です。これには複数の方法が考えられますので、以下でご紹介します。
参考記事:スグ使えるChatGPTへの依頼用の入力テキスト(プロンプト)を紹介。
ChatGPT APIを活用したFAQチャットボットの作り方
ChatGPT APIを利用してチャットボットを作成する方法はいくつかの方法があります。以下ではメリット・デメリットの異なる2通りの方法を紹介します。
①ChatGPT APIに参照情報を送って直接回答させる
②ChatGPT APIで生成した回答をチェック後に蓄積。自社システムで回答
いずれの方法も、ChatGPTの文章生成時に「参照元」の情報を渡せるシステムを構築すれば、ChatGPTの自動生成であっても最初から「ほぼ正しい内容の回答の作成」が可能な方法です。さらに②では完全に正しい回答にするフローが実現可能です。
①ChatGPT APIに参照情報を送って直接Q&Aの回答をさせる
顧客からの問い合わせを受け取った際に、その内容をChatGPT APIに送信し、直接回答を生成して顧客に返信する方法です。
メリット:
- 予め想定してなかった質問に対して「回答に関連する情報が体系的に用意できていれば」適切な回答を都度生成できる可能性がある。
デメリット:
- 参照ドキュメントやデータの中に回答を生成するためのデータがあれば正しい回答が生成できるが、参照すべきデータがない場合は、ずれた回答をしてしまう可能性がある。
- 最終回答の確認ができていないため、最悪は間違った回答をする可能性がある。
- 特に不特定多数の一般利用者向けに公開した場合は、後述のプロンプトインジェクション攻撃(※プロンプトを通じて不正な表示を誘う攻撃)の発生リスクがある。ChatGPTのAPI自体にプロンプトを通じた一般ユーザーからの入力を許す場合、いくつか対策は考えられるものの、完璧な対策は難しい場合もあるためリスクが発生する。
②ChatGPT APIで生成したFAQをチェック後に蓄積。自社システムで回答
ChatGPT APIを利用して生成した回答を、人間がチェックした後に蓄積し、自社システムで回答する方法です。この方法では、人間が生成した回答をチェックすることで正確性を確保できます。また、蓄積された回答データを自社システムに組み込み、APIを介さずに直接応答することで以下のメリットが得られます。
メリット:
- API費用を節約でき、コストを抑えられる
- 利用者の利用のたびに毎回APIを叩かなくて済むため。
- チャットボットの応答の完了までのレスポンスが速い
- 毎回APIの処理が走らないため。
- 後述のプロンプトインジェクション攻撃への対策が不要となる。
- ユーザー入力がChatGPTのAPIに直接入力されないため。
デメリット:
- 回答が可能な範囲は、事前に生成済みのQ&Aの範囲となる。
- 回答内容に責任を持つ運用のため、公開前にQ&Aをチェックする必要がある。
AIチャットボットにChatGPT APIを利用する時のデメリットとその対策
ChatGPT API利用時に発生するデメリットがあります。
1)「もっともらしく間違った回答」をしてしまうリスク
2)不正な表示を引き起こすプロンプトインジェクション攻撃のリスク
1)「もっともらしく間違った回答」をしてしまうリスクへの対策
回答の正確性を担保するチェックフローで生成AIの間違いを修正します。
生成AIはどうしても、間違った内容をもっともらしく書いてしまったり、内容は間違ってなくても微妙なニュアンスがおかしいなどが発生します。
ChatGPT APIを利用する際には、回答の正確性やニュアンスの正しさを担保するためのチェックフローを用意することが重要です。人間がチェックを行うことで、ChatGPTが生成した回答の誤りを発見し、修正やニュアンスの最適化をすることができます。
2)不正な表示を引き起こすプロンプトインジェクション攻撃のリスクへの対策
プロンプト(Prompt)とは、AIに指示を出すときの入力テキストのことです。
プロンプトインジェクションとは、ChatGPTなどのシステムに悪意のあるプロンプトを入力して、不正利用する攻撃手法です。
ユーザー入力をChatGPT APIに直接送信する形式を取る限り、悪意を持って不正な回答を生成させられるリスクも残ります。
今後様々な対策が試行錯誤される中で整理されてくるかと考えられますが、ChatGPTのAPIを都度活用することならではの意外性のある回答ができたり、柔軟な回答ができる可能性はあるものの、リスクも同時に存在します。
ChatGPTのQ&A作成時の注意点。情報漏洩リスクへ対処
ChatGPTを利用してQ&Aを作成する際には、以下の点に注意することが重要です。
- 生成AIのサービスは学習データへの再利用に関する利用規約に注意する
- 表示されたくない情報へのAPIからのアクセスは遮断されていること
これらに注意してChatGPTを活用します。
生成AIのサービスは学習データへの再利用に関する利用規約に注意する
ChatGPTなどの生成AIを利用するときは、自動生成のための学習データとして利用されるか否かの確認が必要です。ChatGPTのWeb版(有料のChatGPT Plusも含む)を使用する場合、個別に申請しない限り、自動生成のための学習データとして利用される可能性があります(2023年4月17日時点)。これを避けたい場合は、OpenAIのAPIを利用したり、API版と連携されたサービスを利用すれば、自動生成の学習データの対象外となることが可能です。
学習データの対象になることの何が問題となるか?についてですが、自動生成の学習素材に使われる可能性があるということは、他の人がAI上で自動生成を行ったときに出力される情報の素材として使用されてしまうリスクが存在するということです。無関係の人が利用した時に「社外秘情報」や「個人情報」が誤って表示されてしまうリスクが考えられます。
参照:OpenAIの利用規約(2023年4月2日時点)
引用元:https://openai.com/policies/terms-of-use
以下の「3.Content」の冒頭に「API経由で受け取ったコンテンツについては、私たちのサービスの開発や改善には使わない」と明言があります。一方で赤線部分では「API経由以外で受け取ったコンテンツは私たちのサービスの開発や改善に使う」と記載があります。
3. Content
表示されたくない情報へのAPIからのアクセスは遮断されていること
ChatGPTのAPIを活用することで、「事前に作成していない内容についても、回答文を自動生成できる」技術的可能性は、ヘルプデスクを提供する側にとっては、期待が膨らむ要素です。しかし一方で、ユーザー入力をAPIの送信情報の中に直接受け入れるということは、悪意のあるユーザーにAPIで送信するプロンプトを不正に操作する「プロンプトインジェクション攻撃」のチャンスを与えてしまうリスクがある点は留意すべきです。
プロンプトインジェクション攻撃があった場合でも、最悪問題がない状態にしておくことも重要です。以下の方法が考えられます。
対応策
- 不正な入力を受け付けないよう、ユーザー入力欄からのプロンプトの指示を無効にするプロンプトを作成したり、応答するトピックの範囲をプロンプトで絞るなどのできる限りの対策をする。
- 最悪、意図していない表示がされてしまったとしても、致命的な情報の表示は発生しないようにプロンプト内に万が一不正表示されることが致命的となる内容を含めないように作成する。
- ChatGPTのAPIがアクセス可能な情報の範囲に公開されてはならない情報を含めないようにする。アクセス可能な情報の範囲を区切っておく。
恒久対策
- ユーザー利用時の入力に対しては自社システム内でレスポンスを返すシステム構成にするなど、ChatGPTのAPIにユーザー入力が直接入力されないシステム構成にして根本的なリスクが存在しない運用にする。
まとめ
- ChatGPTを元ネタの内容がある状態で要約に使えば「正しい内容を元に要約」するため、ほぼ正しい内容で作成できる。
- ChatGPTを活用することで、従来のFAQ作成や顧客対応にかかる手間を大幅に削減することができます。
- ChatGPT APIを利用してチャットボットを作成することで、より効率的な顧客対応を行うことができます。
- ただし、システム的な対策を行うことで情報漏洩リスクやプロンプトインジェクション攻撃に注意することが必要です。
実は手間がかかるChatGPT。hitoboで業務適用がスムーズに!
ChatGPTによる文章の自動生成や、表形式への変換など、最初は驚きと嬉しさで夢中になってやりますが、知らない間に多くの時間が経過していたことはないでしょうか?
また、処理できるデータ上限の兼ね合いで、何度も続きを依頼しないとなかなか処理が終わらないこともあったかと思います。
hitoboならそういったデータの変換にかかる手間や、何度も処理が途切れて依頼し直す手間なく、hitoboのシステムに登録をすれば待つだけでQ&A自動生成が可能です。
hitoboは問い合わせ対応履歴からQ&A自動生成。スグにボットに反映可能。
hitoboの場合は、Q&Aを自動生成したあと、そのまま利用中のチャットボットに応答に追加することが可能です。メール、チャット等の問合せ対応履歴(質問や回答の履歴)をアップロードすれば、そこからQ&Aの自動生成が可能です。また、その後すぐにその場で自動生成されたQ&Aをチェック・修正ができ、チャットボットの応答への反映も可能です。担当者が問い合わせ対応履歴をチェックすることからQ&A登録までの作業をスムーズに進められ、担当者に大きな負荷をかけることなく、業務効率化が可能となります。
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