【公開日:2022年5月24日】
過剰期待の時期を経て、現在はチャットボットの現実的な活用方法が理解され、企業でもチャットボットの導入と活用が定着してきています。
なかでも、コロナ禍もきっかけとなり、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるための手前の段階の施策の推進や、急ピッチで業務効率化を推し進める企業が増えています。その一環として、社内FAQの解決のためにチャットボットの導入が進んでいます。
・Sharepointにチャットボットを設置
・Teamsにチャットボットを設置
・Googleサイトにチャットボットを設置
・自社構築の社内ポータルにチャットボットを設置
・既に利用中のグループウェアにチャットボットを設置
・新たにチャットボットを単体で利用
これらの設置方法で導入を行い、以下のような活用をすることで課題を解決しています。
・気軽に質問できるメリットを生かし、「まずは自分で調べる」フローを定着させる
・「何が質問されているか」の定量化や可視化をすることで社員が自己解決できる範囲を増やす
目次
チャットボット導入時の課題とは?
チャットボットの導入前の課題として以下の2つがあります。
①選択肢が多く、どのサービスを選べば良いか分からない。
チャットボットを導入すればすべてが必ずうまくいくわけではありません。導入方法やチャットボットツールの種類によってはデメリットが発生する場合もあります。そのため、各サービスの特性を理解して選択する必要があります。
②効果が出ることが想像つくが、予算取りの妥当性が説明しづらい。
対顧客向けのチャットボット活用は結果として売上向上やコスト削減に直接結びつくため、予算の妥当性が説明しやすいです。
しかし、社内利用時の費用対効果は影響の規模が分かりづらかったり、意思決定の要素を明確化しづらい課題もあります。
今回は②の「直感的には効果が出ることが想像つくが、社内利用時の予算取りの妥当性が説明しづらい。」のトピックを中心に扱いつつ、以下では、
・チャットボット導入による費用対効果の期待規模を算出する方法
・生産性向上のためにチャットボットの導入する際に、サービス選択で留意すべき点
を順にお伝えします。
導入の影響の大きさを費用対効果で算出する必要性
日々の業務で「もっと効率よくできるのでは?」とご担当者自身が感じているのであれば、チャットボットを導入することで、ほとんどの場合において費用対効果を出せると考えて差し支えないです。
こう言い切ると雑で乱暴に聞こえるかもしれませんが、ご担当者が「もっと効率よくできるのでは?」と感じるということは、非生産的な業務の場面の事実を、日々観察していることに他ならないからです。
もちろんツールに投資する費用や、運用負荷を含めたトータルコストとの天秤により費用対効果は決まります。しかし少なくともhitoboなど、特に運用負荷の低さとAIの機能やユーザーインターフェースの使いやすさの優れたツールを利用することにより、ほぼ費用対効果を期待できる場合が多いです。
ただし、社内提案時に「筋の悪い思い込み」と取られてしまう提案では、施策を試すことすら難しくなります。関係者の納得感をもって試すには、業務効率化の可能性の直感を具体的な数値に変換して可視化する必要があります。
様々な課題や、やるべき施策がある中で意思決定をするには、以下に関する整理が必要です。
・どのくらいの規模感の影響を期待してよいか?
・実現の難易度やリスクはどの程度か?
・期待に対してかける費用は適切か?
「どのような影響が期待できるか?」と、その「実施にかかる負荷(難易度、リスク、費用)はどの程度か?」の2つの軸で検討を進め、それに適した投資コストを見極めて、進める施策を決定します。

社内で質問、受け答えをするとき何に時間を浪費するか?
まずは影響度から考えます。影響度を考えるには対象の課題の規模から考えます。業務効率化における主な影響の対象は、「社内メンバーが浪費しているであろう時間」となります。
・社内で質問をするとき、何に時間を浪費するか?
・質問に答えるときに、何に時間を浪費するか?
これらの内訳を分解し、影響規模を算出します。直接的に浪費しているコストと、間接的に浪費しているコストがあります。一見算出がしづらく見えていないコストも、「質問者」と「回答者」で双方で浪費コストが都度発生しているため、生産性を下げる影響力が大きいです。社内FAQはこれら双方向にする浪費コストを企業がすべて負担しているため、解決策を実施するだけで費用対効果の成果を出しやすいと言えます。
質問者が浪費している時間
分からないことが発生した時、以下の時間を浪費します。
直接的浪費コスト
・どこで情報を探せばよいか分からない 探す時間
・探せば見つかる情報か、人に聞くべきか不明 迷う時間
・誰にその情報を聞けばよいか分からない 探す時間
・聞いてよいか躊躇してタイミングを迷う 迷う時間
・質問文を書く時間や話しかける時間 聞く時間
回答者が浪費している時間
「誰がいつ答えてても同じ回答となる」定型知識に関する質問をされた時、以下の時間を浪費します。
直接的浪費コスト
・質問への回答内容を探して考える時間 探す時間
・質問へ回答する時間 回答する時間
間接的浪費コスト
・業務中断後、再集中までにかかる時間 停滞時間
・中断業務の完了タイミングの遅れ 関係者業務へ影響
・探せば分かる情報を何度も聞かれるストレス 集中力・満足度ダウン
これらにそれぞれどれだけの時間がかかっているかの想定時間は計算が可能です。
費用対効果の算出シートをhitoboでは提供していますのでそちらで簡単に算出が可能です。

課題別の解決策
質問者の課題の解決策
・どこで情報を探せばよいか分からない 探す時間 → アクセスしやすい場所に探す方法を提供
・探せば見つかる情報か、人に聞くべきか不明 迷う時間 → 情報があれば見つかる、情報がないことが分かる
・誰にその情報を聞けばよいか分からない 探す時間 → 誰に聞けばよいか分かる
・聞いてよいか躊躇してタイミングを迷う 迷う時間 → 情報を探したあとに聞く
・質問文を書く時間や話しかける時間 聞く時間 → 情報を探したあとに聞く
回答者の課題の解決策
・質問への回答内容を探して考える時間 探す時間 → 質問者が情報を探したあとに質問を受ける
・質問へ回答する時間 回答する時間 → 質問者が情報を探したあとに質問を受ける
チャットボットで費用対効果・生産性を向上するには?
生産性を向上するには、人員体制あたりの製品・サービスの生産量や付加価値を上げることが必要となります。そのために、すぐに取り組めてかつ継続がされる施策として、チャットボットによる業務効率化により、生産性にマイナスに働くそもそもは不要の「浪費コスト」を削減することが有効です。
チャットボットによる費用対効果は、この「削減できる浪費コスト」の大きさと「追加で発生するツール費用と運用コスト」の大きさが「等価以上」となっていれば、効果を出せていると言えます。
チャットボット選択時に考慮すべきこと。落とし穴。
社内FAQでの利用と顧客対応でのチャットボットでは若干利用者の前提が異なります。
・社内FAQでは情報を積極的に探してもらえるようにする業務設計や、スムーズ利用できる状態に促すことに重心を置く。
・作りこむことにこだわり過ぎず、完成度と、作成者の業務負荷のバランスを考える。
シナリオ型ボットだけは効率化が難しい理由
シナリオボットは社内FAQでの利用には、あまり向かない面もあります。
理由は以下となります。
- ボタン表示量の限界がある。表示量の限界=回答できる範囲の限界となる。
- 社内メンバーは情報を積極的に探してもらえることを活かした運用にした方が、チャットボットを作りこむ時間に過剰にリソースを投下する必要がなくなる。その方がトータルの生産性を最大化しやすい。
- 例えば月額2~3万円のツールであっても、改善作業に毎週1~2時間かかるのであれば、月額のコスト負担が、2~3万円実質追加される。また、単なる人件費以上に「貴重な人材資源を新たな運用業務に費やしている」こと自体が損失となる。
まとめ
DX(デジタルトランスフォーメーション)がという言葉をどこに行っても聞くようになりました。もちろん「大きなロードマップ描き未来から逆算する」ことは大切です。
ただし、大きく描くことも大切ですが、小さく試行を進めていく日々の活動も大事です。
まずは一歩として目先の業務を効率化し、「さらに何ができるか?」の解像度を上げていくことで前に向かって進みやすくなります。
- 期待される業務効率化を数値レンジで可視化する
- 社内FAQでは双方向でコストが発生しているため、生産性向上効果を上げやすい
- 課題解決に合ったツールを運用コストの想定とともに選択する
費用対効果算出シートを提供中
hitoboでは、社内FAQ、社内の質問のヘルプデスク業務の効率化について課題相談を受け付けてします。
またご希望される方に、自社の従業員数や平均年収を入れるだけで、費用対効果をシミュレーションできる、費用対効果算出シートを提供可能です。
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