【公開日:2023年6月18日】
ChatGPTは、高度で自然な文章を生成できる会話型のチャットボットです。しかし「従来のチャットボットと比較して何が優れているのか」具体的なポイントがわからない方は多いのではないでしょうか。
本記事では、ChatGPTと従来のチャットボットの違いや双方を連携させるメリットについて解説します。「最新技術を活用して問い合わせ業務を効率化する方法」が理解できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。
目次
- 1 ChatGPTと従来のチャットボットの違い
- 2 従来のチャットボットの特徴3選
- 3 ChatGPTが新たにできるようになったこと
- 4 ChatGPTの課題【正確性・待ち時間・用途の見極め】
- 5 ChatGPTと従来のチャットボットを業務利用する際の強み
- 6 ChatGPTとチャットボットを連携させるメリット【両方の強みのいいとこ取りができる】
- 7 チャットボットの応答をChatGPT APIから直接回答する場合のメリット・デメリット
- 8 チャットボットで応答するQ&A文をChatGPT API連携で事前生成する場合のメリット・デメリット
- 9 ChatGPT API連携のチャットボットを利用する方法
- 10 まとめ
ChatGPTと従来のチャットボットの違い
ChatGPTと従来のチャットボットでは、質問に回答する仕組みが大きく異なります。この章ではChatGPTの概要と、従来のチャットボットとの違いについて解説します。
ChatGPTとは
ChatGPTとは、OpenAI社が開発した人工知能モデルを使った会話型AIのサービスを指します。大量のテキストデータを用いて、広範囲の自然言語処理ができるように学習されている点が特長です。テキスト生成や要約・質問応答などに利用できるため、以下のような活用方法があります。
- 質問に答えてもらう
- プログラミングのコードを書いてもらう
- 小説を書いてもらう
スイスの投資銀行「UBS」は、ChatGPTのユーザー数は2023年1月31日時点で推定1億2,300万人と発表しました。MicrosoftがOffice 365にChatGPTベースのAI機能を組み合わせた新サービスを発表するなど、今後の活用が注目されています。
従来のチャットボットとの違い
従来のチャットボットは、プログラムを利用した問い合わせ対応など、特定の目的に合わせて設計された自動応答システムです。運営側が設定した選択肢に沿って案内が進む「シナリオ型」や、利用者の自由入力に対応する「AI型」があります。
従来のチャットボットは「特定業務への特化」や「間違った回答を生じさせない運用」が得意分野です。ChatGPTは圧倒的な対応範囲の広さが魅力である一方で、間違った回答を利用者が認識できないまま受け取ってしまう可能性があります。ChatGPTを活用するためには、正しい情報を引き出せるように利用者側が的確な質問を投げかけることが大切です。また、間違った回答が生成されても許容できる場面で利用したり業務プロセスに組み込んだりすることで、活躍の幅が広がります。
従来のチャットボットの特徴3選
ChatGPTの優れた点を理解するためには、まず従来のチャットボットにどのような特徴があるのか把握しておくことが重要です。この章では、3つの視点から従来のチャットボットの特徴について解説します。
一から十までの設計や学習が必要
チャットボットを運用するためには、事前準備として「多く寄せられる問い合わせのピックアップ」と「Q&Aの文章作成」が必要です。文章作成はすべてスタッフの手作業で、質問を解決できるよう適切な回答を準備しなければなりません。
外国人の利用が多く見込まれるなど、活用シーンによってはほかの言語への対応が求められます。多言語に対応するためには、翻訳済みの言語で個別のQ&Aを作成する必要があり、時間と手間がかかります。
事前に学習させた領域のみでしか回答できない
チャットボットが問い合わせをカバーする範囲は、事前に回答を準備した領域のみです。AI搭載型のように幅広く回答できるチャットボットはあるものの、開発側が意図しない質問には答えられません。運営側が回答を追加する作業量が対応範囲の広さに直結するため、導入後も継続的に分析・改良が必要です。
回答が「早く」「正確」で「使いやすい」
チャットボットの回答を速度や正確性、使いやすさの面から見ると、以下のような特徴があります。
- 利用者は正確な情報を取得できる
- 回答にかかる時間を短縮できる
- いつでもすぐに回答を取得できる
- 会話形式で使いやすい
チャットボットの回答は、商品やサービスに精通した専門のスタッフが作成しています。やり取りするデータ量や応答するための計算処理の負荷が軽いことから、回答スピードは早いと言えます。
またWebサイトやアプリ・社内ツールなど、あらゆるメディアに設置しやすいのがチャットボットのメリットです。普段利用しているチャットツールと操作画面が似ているため、利用者にとっては使いやすいでしょう。
ChatGPTが新たにできるようになったこと
この章では、ChatGPTが新たにできるようになったことについて解説します。従来のチャットボットと比較しながら、順番に見ていきましょう。
多くの機能が準備なしで使える
2018年の初代GPTで1.1億だったパラメータ数は、2020年のGPT-3で1750億まで増加しました。パラメータとはAIが結果を導く際に参照する要素を指し、多いほどバリエーション豊富かつ複雑な回答を得られます。Webサイトから膨大なテキストデータを集め文章の生成に利用しているため、テーマに合わせた再学習の必要がありません。そのため、データの用意にかかる時間と手間を削減できます。
多言語に対応するための学習も、ChatGPTには必要ありません。ChatGPTの利用画面はすべて英語表記ですが、日本語で質問しても自然な文章で回答できます。
作業量に依存せず回答パターンを持てる
ChatGPT自体が膨大なデータを学習しているため、運営側で入力作業を行わなくても広い範囲で問い合わせをカバーできます。たとえば、問い合わせ対応履歴がまったく存在しない場合でも「企業の情報システム部門に多い質問を15個、質問の頻度が多い順にリストアップしてください」と依頼すれば、回答を自動生成できます。
ChatGPTを利用することで、従来のチャットボットに比べて回答パターンを飛躍的に増やせるでしょう。
ChatGPTの課題【正確性・待ち時間・用途の見極め】
ChatGPTの課題の1つは「回答の正確性をどのように担保するか」です。ChatGPTは膨大なデータを学習しているものの、以下のケースでは正確性の低い回答を提示する可能性が上がります。
- 質問内容が不明確
- 適した回答が取り込んだ知識の範囲外
- 最新情報に関する質問
たとえば、ChatGPTに「上野動物園のパンダの名前は?」と質問すると以下のように回答しました。
“上野動物園のパンダの名前は「シンリン」です。シンリンは、上野動物園において、2011年に中国から来日し、その後も多くの人々に親しまれています。上野動物園は、日本で最も歴史のある動物園のひとつであり、シンリンをはじめとする多くの動物たちが人気を集めています。“
しかし「シンリン」と名付けられたパンダが上野動物園で飼育されたことは、過去に一度もありません。インターネット検索で正しい情報が取得できる質問内容であっても、ChatGPTの回答は正確性に欠ける可能性があると言えます。
また、ChatGPTの回答は毎回文章を自動生成する重い計算が走るため、回答の完了までに数秒から数十秒を要することが多くあります。待ち時間が毎回生じるといった制約があるなかで、業務利用やサービス提供時にいかにその影響を小さくする工夫をするか?は今後の課題となるでしょう。
ChatGPTと従来のチャットボットを業務利用する際の強み
この章では、業務利用の面からChatGPTと従来のチャットボットの強みについて解説します。適性を理解しておくことで、自社の課題にあったツールの導入につながります。
ChatGPTの強み【情報加工の柔軟性】
情報の加工とは、元の参照データがある状態で以下の作業を実施・作成することを指します。
- 要約
- 分類
- 分析
- 報告
参照データを元に情報を生成することで、間違った内容を作成する可能性を減らせます。そのため、情報加工はChatGPTの強みを生かせる使い方の1つです。
従来のチャットボットの強み【正確性とレスポンスの早さ】
従来のチャットボットの回答は商品やサービスに専門的な知識をもつスタッフが作成しているため、情報の正確性は高くなります。Q&Aは上書きや追加ができ、古い情報が残らないように調整可能です。
また、チャットボットはすでに作成されたQ&Aを表示するためレスポンスが早く、利用者が回答まですぐにたどり着ける点も強みです。
ChatGPTとチャットボットを連携させるメリット【両方の強みのいいとこ取りができる】
ChatGPTとチャットボットは別々に使うだけでなく、相互に連携して活用できます。ChatGPT APIを連携させることで、従来のチャットボットの強みを残しつつ、弱みを補えます。従来のチャットボットのカバー範囲は、運営側が作成した回答量に依存していました。しかし、ChatGPTでよくある質問のQ&Aを事前に自動生成しておくことで、スタッフが文章を作成することなく対応範囲を増やせます。
従来のチャットボットがカバーしている質問であれば、強みである「回答の正確性やレスポンスの早さ」が生かせるため、利用者にとって利便性の高いサービスの提供につながります。
チャットボットの応答をChatGPT APIから直接回答する場合のメリット・デメリット
チャットボットの応答をChatGPT APIから利用のたびに文章生成し、直接回答する場合のメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・多様な質問に対応可能 |
---|---|
デメリット | ・不正確な回答になるリスク ・プロンプトインジェクション攻撃発生のリスク |
シナリオ型のチャットボットは運用側が設定した案内に沿って進むため、問い合わせ可能な範囲が限定されています。対応力が高いとされるAI型であっても、開発側がまったく意図しない質問には回答できません。
ChatGPT APIから直接回答することで、想定外のジャンルや内容の質問に対応できます。ただし、質問毎に文章を自動生成するため、運営者が回答内容の確認が出来ず、情報の正確性を担保できません。そのため、製品・サービスの顧客窓口や、業務上での利用など、利用者へ間違った回答をすることが許容されない用途では、別の方法を検討するのが望ましいでしょう。
また、プロンプトの入力を利用して、外部から意図的に不正な応答表示を誘導したり、情報を抜き出したりすることを意味する「プロンプトインジェクション攻撃」を受けるリスクがあります。ユーザーがプロンプトに直接入力できる限り、プロンプトインジェクション攻撃を通じて、わざと差別的な発言や攻撃的な発言、著しく誤った回答などを表示させることができ、そのリスクを完全に無くすことは、現状はまだ難しいといえます。
チャットボットで応答するQ&A文をChatGPT API連携で事前生成する場合のメリット・デメリット
チャットボットにChatGPTを連携すると、問い合わせに対応するQ&Aを大量に自動生成できます。従来は手作業で追加や修正を加えていたため、ChatGPTの活用によって作業時間の大幅な短縮が可能です。
参照データを渡して自動生成すると、ChatGPTは一定の品質で回答を自動生成できます。しかし、ChatGPTで生成したQ&Aは微妙なニュアンスの違いや若干の誤りなどのズレが生じる可能性はあります。正確性を担保するためには、商品やサービスの知識をもった専門スタッフの最終チェックが必要です。
ChatGPT API連携のチャットボットを利用する方法
ChatGPT API連携のチャットボットを利用するには、大きく分けて2つの方法があります。
- ChatGPT APIを活用して自社でチャットボットを開発する
- ChatGPT API連携のチャットボットツールを利用する
方法ごとの特徴を押さえておくと、自社に合った利用方法を選ぶヒントになります。それぞれ順番に解説します。
ChatGPT APIを活用して自社でチャットボットを開発する
開発予算やリソース、スキルがある場合には、目的に合ったオリジナルのチャットボットを自社開発して利用できます。ChatGPT APIは従量課金制を採用しており、APIを利用した量に応じた費用がかかります。
独自開発には、APIやアプリケーションに関する専門的な知見が必要です。また、導入後は継続的な改善が必要となるため、知識を持ったスタッフがいなければ継続的な運用が難しくなる可能性があります。
ChatGPT API連携のチャットボットツールを利用する
まとめ
- ChatGPTとは、大量のテキストデータを学習することで自然な文章の生成を可能にしたAIツールです、
- ChatGPTは情報加工の圧倒的な柔軟性、従来のチャットボットは正確性とレスポンスの早さに強みをもちます。そしてChatGPT APIとチャットボットの連携により、さらなる業務効率化が期待できます。
- ChatGPT API連携のチャットボットを利用する方法は「自社開発」「API連携済みのツールの利用」の2つです。費用の軽減やサポートの充実度を重視したい場合は、既存のAPI連携済みのツールの利用が望ましいでしょう。
「hitobo」ではChatGPT APIと連携したチャットボットを提供しています。問い合わせ対応の履歴を読み込ませるだけで簡単にQ&Aを生成し、業務効率化をサポートします。問い合わせ業務の改善でお悩みの企業は「hitobo」の導入をぜひご検討ください。
hitoboは問い合わせ対応履歴からQ&A自動生成。スグにボットに反映可能。
hitoboの場合は、Q&Aを自動生成したあと、そのまま利用中のチャットボットに応答に追加することが可能です。メール、チャット等の問合せ対応履歴(質問や回答の履歴)をアップロードすれば、そこからQ&Aの自動生成が可能です。
以下より、資料のダウンロード及び、問い合わせが可能です。お気軽にご相談いただけたらと思います。