【公開日:2024年7月22日】
こんにちは、hitoboサービス・AI情報担当です。
2024年7月18日にChatGPTを提供しているOpenAI社は生成AI「GPT」シリーズの新モデル「GPT-4o mini」を発表しました。その大幅な低コスト化と、それにもかかわらず精度が高いことが話題となっていますが、これまでの他モデルとの違いを知りたい方は多いのではないでしょうか。弊社が提供する、AIチャットボット「hitobo」でも、すでにGPT-4o mini 、GPT-4o のAPI連携を完了しています。さらに精度の上がったQ&A自動生成機能など、生成AI機能を提供し、業務の効率化に貢献しています。
本記事では「GPT-4o mini(ジー・ピー・ティー・フォー・オー・ミニ)」について従来の「GPT-4o」や「GPT-3.5Turbo」との違いを比較しつつ、生成AIを活用しての業務効率化の方法の選択肢を紹介します。今後、コストパフォーマンスに優れた「GPT-4o mini」が、あらゆる企業で業務効率化や生産性向上のために活用されていくと予想されるため、本記事の内容をぜひ参考にしてください。
(ChatGPT-4o mini 処理速度デモ動画あり)
目次
GPT-4o miniとは?安くて、早くて、高性能なモデル。
GPT-4o mini は、「ChatGPT」を提供するOpenAIが発表した、大幅な低コスト化が反映された、コストパフォーマンスに優れた新たな生成AIモデルです。その高い精度を持ちながらも、価格破壊的なコストダウンを実現している生成AIモデルの発表に対して、公開後すぐにSNSを中心に話題に上がっています。
GPT-4o miniとは?
GPT-4o mini(ジーピーティー・フォー・オー・ミニ)は2024年7月18日にOpenAI社が提供を開始した低コストでコストパフォーマンスが非常に高い生成AIモデルです。日本時間7月19日時点で、GPT-4o miniは既に一般ユーザー向けのブラウザ版のChatGPTにて無料版・有料版ともに利用が可能で、システム連携のためのAPIの利用も可能となっています。
テキストと画像の入力が可能で、これまで無料版のChatGPTでメインのモデルであったGPT-3.5 Turboよりも高い性能で、かつ安くて早い軽量な生成AIモデルとなっており、今後、GPT-3.5 TurboはGPT-4o miniへと置き換わっていくものと予測されます。
今後の予定としては、テキスト、画像、ビデオ、音声の入力と出力がサポートされる予定です。
これにより「コストは安いが精度の高い生成AIを活用できるサービス」が今後さらに普及していくことが期待されます。
GPT-4o miniは圧倒的にコストが安い、早い。
GPT-4o miniはコストパフォーマンスを重視した、安くて、早い軽量な生成AIモデルです。GPT-4o miniはGPT-3.5 Turboよりも回答精度も高く、知識のカバー期間も新しくなっていますが、それにもかかわらずコストが大幅に抑えられています。
入力時はGPT-3.5 Turboのコストの7割安い3分の1程のコスト、出力時はGPT-3.5 Turboのコストの6割安く、半額以下のコストを実現しています。
GPT-4o(ジーピーティー・フォー・オー)よりも回答精度の面では劣りますが、大量のタスクの処理や、早いレスポンスが必要なタスクに向いている生成AIモデルと考えられます。
動画(8秒):処理速度が速いChatGPT-4o mini
参考:GPT-4o mini およびGPT-4o 対応済み!Q&A自動生成ができるチャットボットサービスのhitobo
GPT-4o miniは安くても高性能なモデル。
GPT-4o miniは安くて高性能なモデルです。OpenAI社が公表している評価結果によると、GPT-4oには劣っているものの、各評価項目で非常に良いスコアを出しています。
※以下の図で、赤い印を加筆した箇所がGPT-4o miniの評価結果です。
GPT-4o miniの評価結果
引用元:https://openai.com/index/gpt-4o-mini-advancing-cost-efficient-intelligence/
※グラフ中の項目
MMLU: 様々な言語タスクでの理解力評価
GPQA: 一般的な質問に対する回答力評価
DROP: 長文から情報を抽出する能力
MGSM: 数学と科学の問題解決力評価
MATH: 数学の問題に対する解決能力
HumanEval: プログラムコード生成の精度評価
MMMU: テキストと画像の統合理解力評価
MathVista: 数学的な図表やグラフの理解力
比較表:GPT-4o mini、GPT-4o、GPT-3.5 Turboの違いを比較。
GPT-4o mini、GPT-4o、GPT-3.5 Turboの違いについての、知識のカバー期間(カットオフ)とコストの比較表です。
比較表:GPT-4o mini、GPT-4o、GPT-3.5 Turboの違い(2024年7月21日時点)
知識のカバー期間 | コスト(入力) | コスト(出力) | ポイント | |
GPT-4o mini | 2023年10月まで | $0.150 / 1M input tokens | $0.600 / 1M output tokens | GPT-3.5 Turboよりもコストは安いが回答精度は高い。 |
GPT-4o | 2023年10月まで | $5.00 / 1M input tokens | $15.00 / 1M output tokens | GPT-4o miniより回答精度は高いが、コストも高い。 |
GPT-3.5 Turbo | 2021年9月まで | $0.50 / 1M input tokens | $1.50 / 1M output tokens | コストと精度の両面でGPT-4o miniに劣る。 |
生成AIモデルのAPI利用時のコスト
これまでGPT-3.5 Turboは、GPT-4oに対しては、入力・出力ともに10分の1のコストで、コストと速度にすぐれたモデルとして利用されてきましたが、GPT-4o miniは精度の面のみならず、コストの面でもGPT-3.5 Turboを上回るメリットを提供しています。
知識のカバー期間(カットオフ)
カットオフ日以降の情報は生成AIモデルは知識を持っていないということとなります。それぞれの生成AIモデル自体がカバーしている知識の期間は以下となります。GPT-4o mini、GPT-4oの方が生成AIモデルとして、GPT-3.5 Turboよりも新しい知識を持っていることとなります。
- GPT-4o mini: 2023年10月まで
- GPT-4o: 2023年10月まで
- GPT-3.5 Turbo: 2021年9月まで
※GPT-4o miniについて「knowledge up to October 2023」と記載があったため、「10月までの知識」は持っているという意味になるかと思われます。
GPT-4o miniとGPT-3.5Turboの比較
GPT-4o mini とGPT-3.5 Turboはどのような点で違っているのでしょうか。ここでは、それらの違いを紹介します。
GPT-3.5Turboとは?
2022年11月にChatGPTがリリースされ、2022年の年末から2023年の頭にかけ大きな話題として世の中を駆け巡り、生成AIが今のように誰もが知るものとなるきっかけとなりました。そのときからChatGPTに搭載されていた生成AIモデルが、GPT-3.5Turboとなります。
2023年3月にGPT-3.5Turboとシステム連携するためのAPIが発表されて以降、ChatGPTと同じ生成AIモデルであるGPT-3.5Turboを使用した、たくさんのサービスがリリースされました。
GPT-4o mini の方がGPT-3.5Turboよりも6割以上のコストダウン。
GPT-4o miniは、入力時はGPT-3.5 Turboのコストの30%となっており3分の1程のコスト、出力時はGPT-3.5 Turboのコストの40%と半分以下のコストを実現しています。
GPT-4o miniは、GPT-3.5 Turboに対して回答精度が向上されているにもかかわらず、コストメリットの面でも勝る生成AIモデルとなります。これまで多くのシステムでコストメリット面で利用されてきたGPT-3.5 Turboは、GPT-4o miniへと置き換えられていくことが予測されます。
gpt-4o-mini
$0.150 / 1M input tokens
$0.600 / 1M output tokens
gpt-3.5-turbo-0125
$0.50 / 1M input tokens
$1.50 / 1M output tokens
GPT-4o mini の方がGPT-3.5Turboよりも回答精度が大幅に向上
OpenAI社が公表している以下の評価結果(再掲)においても、GPT-3.5Turboに対して、GPT-4o mini の方が回答精度が大幅に向上していることが分かります。
また、日本語など英語以外の言語についても速度と精度の両面が改善されているものと考えられます。
またテキストと画像の入力が可能で、今後の予定としては、テキスト、画像、ビデオ、音声の入力と出力がサポートされる予定です。
GPT-4o mini 対 GPT-3.5Turbo
※OpenAI社公表の評価結果に目印を加筆。赤がGPT-4o mini、水色がGPT-3.5 Turbo。
引用元:https://openai.com/index/gpt-4o-mini-advancing-cost-efficient-intelligence/
GPT-4o miniとGPT-4oの比較
GPT-4o miniとGPT-4o はどう違うのでしょうか?コスト面、回答精度面の違いを解説します。
GPT-4oとは?
GPT-4oは2024年5月13日にOpenAI社からリリースされた生成AIモデルです。GPT-4レベルの知能を持ちながら、より高速で効率的に動作します。テキスト、音声、画像などのマルチモーダル入力に対応し、特に多言語対応が強化されています。画像解析や翻訳機能、リアルタイムの音声・ビデオ対話機能も備えています。
参考記事:【最新言語モデル】「GPT-4o」とは?進化した点や業務効率化につながる活用例5選を紹介 – チャットボットのhitobo(ヒトボ)
GPT-4o mini の方がGPT-4oよりも96~97%のコストダウン。軽量で早い。
GPT-4o miniは、入力時はGPT-4oに対して97%のコストダウン、出力時は96%のコストダウンとなっています。精度と速度とコストのバランスを考えると、業務効率化のための活用に向いている非常にコストパフォーマンスが高い生成AIモデルと言えます。
gpt-4o-mini
$0.150 / 1M input tokens
$0.600 / 1M output tokens
gpt-4o
$5.00 / 1M input tokens
$15.00 / 1M output tokens
GPT-4o miniよりもGPT-4oの方が回答精度が高い。
コスト面ではGPT-4oに対してGPT-4o miniが圧倒的に勝りますが、OpenAI社が公表している回答の評価結果によると、GPT-4oの方が回答精度が高いモデルとなっています。
低価格でコストパフォーマンスの高いGoogle社のGemini Flashに対抗するモデルとして、OpenAI社がコストと速度が重視される用途をターゲットとしてリリースしたのがGPT-4o miniだと考えられます。
GPT-4o mini 対 GPT-4o
※OpenAI社公表の評価結果に目印を加筆。赤がGPT-4o mini、ピンクがGPT-4o。
引用元:https://openai.com/index/gpt-4o-mini-advancing-cost-efficient-intelligence/
ChatGPT、GPT-4o miniを業務効率化に活かすには?3つの選択肢の違い。
ここでは、GPT-4o miniで業務効率化を実現する方法の選択肢を紹介します。
GPT-4o miniを無料版のChatGPTや、有料版のChatGPT Plusで使用する
GPT-4o miniは既に一般ユーザー向けのブラウザ版のChatGPTにて無料版・有料版ともに利用が可能です。
但し、ChatGPTの無料版や、有料版のChatGPT Plusの標準設定では、生成AIモデルの改善のために入力データが利用される可能性があるため、業務利用においては「公開してはいけない情報を入力しないようにする」などの注意の徹底が必要となります。
GPT-4o miniにAPI連携されたサービスを利用する
GPT-4o miniにAPI連携されたサービスを利用するのが、ノウハウ面・コスト面・安全面を考慮すると、企業の業務効率化においては最も手軽に利用しやすい方法と言えます。
これまで多くのサービスにコスト面のメリットにより連携がされてきたGPT-3.5Turboは、コスト面、回答精度の両面で勝るGPT-4o miniに置き換えられていくものと考えられます。
そのため、2024年の夏から秋以降にかけて、GPT-4o miniのAPI連携されたサービスが順次利用できると考えられます。
API連携されたサービスを利用すれば、自社開発のノウハウや、その後の開発・運用体制を自社でコスト負担しなくとも、用途に応じて最適化されたシステムを利用することが可能です。
またAPI利用時は標準的に「生成AIモデルの改善のために入力データが利用されない」こととなっているため、生成AIモデルの改善に利用されることによる間接的な情報漏洩のリスクを防止することが可能です。
参考:GPT-4o mini およびGPT-4o 対応済み!Q&A自動生成ができるチャットボットサービスのhitobo
GPT-4o miniにAPI連携されたシステムを自社開発する
自社で開発・運用のためのエンジニアチームを作り、API連携されたシステムを自社開発することも可能です。但し、IT投資とそれを維持するための大きな予算や、エンジニアチームをマネジメントできるノウハウや体制がない限りは、初期投資やその後の運用で継続的に発生する費用を考えると、企業的な体力が要求される選択肢となります。
まとめ
- GPT-4o miniは高い回答精度を持ちつつも、GPT-3.5Turboよりもコストが安い、コストと性能のバランスに優れた生成AIモデル。
- GPT-4o miniはGPT-4oよりも回答精度の面では若干劣りつつも、コストと速度が大幅に改善されており、大量のタスクの処理や、早いレスポンスが必要なタスクに向いている。
- GPT-4o miniにAPI連携されたサービスも、今後順次利用できるものと考えられる。
「hitobo」は、ChatGPT API連携がされたAIチャットボットサービスです。すでにGPT-4o mini のAPI連携、GPT-4o のAPI連携を完了しています。
ChatGPTの高度なAI技術を活用して、Q&A自動生成機能を利用可能です。自動作成したQ&Aをhitoboのツール上で最終チェックし、そのままチャットボットが自動応答するためのQ&Aに登録ができるため、問い合わせ対応業務を大幅に効率化できます。ユーザーには担当者が事前に確認済みの回答を表示でき、生成AIの弱点である誤情報による混乱を招くことも防止できます。
生成AIを活用しての、問い合わせ対応の効率化を目指している方や興味のある方は、以下から「hitobo」の資料を無料でダウンロードできますので、ぜひご覧ください。