【公開日:2023年9月21日】
ChatGPTが登場してからというもの、多くの企業での利用が広がっています。しかし、ChatGPTを業務で使いたいものの「どのように活用すれば良いのかわからない」と、導入に踏み切れていない企業が多いのが現状です。
そこで今回の記事では、企業のChatGPT活用事例を紹介します。社内の業務へ活用した例と、自社サービスにChatGPTを連携させた例の2つに分けて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ChatGPTでできること
ChatGPTは、自然な会話が可能な、対話型のAIチャットサービスです。ユーザーが入力した質問に対する回答の精度の高さと、対応可能な領域の広さが特徴です。ChatGPTを使えば、主に以下のようなことができます。
- 文章の作成:メール文や企業のホームページに掲載する説明文など、さまざまな文章作成が可能
- 文章の翻訳・要約:多言語対応のため、翻訳が可能。長文をわかりやすく噛み砕いて説明することもできる
- 文章の添削・校正:誤字脱字のチェックや、指示に合わせた表現の変更が可能
- プログラミングコードや関数の作成:テキストでの指示に合わせて、プログラミングコードの作成や、表計算ソフトで使用できる関数の作成が可能
- アイデアの提案:オウンドメディアへ掲載する記事のテーマ、社内イベントの企画、新商品案など、さまざまなアイデアの提案が可能
ChatGPTは業務上でも使用できます。うまく活用すれば、作業時間の短縮や生産性向上につなげられます。
企業でのChatGPTを含めた生成AIの活用状況
帝国データバンクが2023年6月12日〜15日にかけて実施した調査によると、生成AIを業務で活用している企業は9.1%で、業務での活用を検討している企業は52.0%との結果が出ました。
業務での活用を検討していると答えた企業のうち「現時点では活用イメージが湧かない」と答えた企業は37.8%です。「使用したいが、使い方がよく分からない。詳しい社員もいないのでしばらくは静観するしかない」「業務とのつながりがイメージできない」などの声があがっています。
このように、業務への活用を前向きに検討しているものの、実際にはどのように活用したら良いのかがわからない企業が多いという現状があります。
社内の業務へのChatGPT活用事例7選
「ChatGPTを業務にどのように活用すれば良いのかわからない」という方に向けて、ここではChatGPTの企業での活用事例を紹介します。まずは、社内の業務に活用した事例を紹介しますので、自社への導入の参考にしてください。
伊藤忠商事
大手総合商社の伊藤忠商事は、全社員約4,200人に対してChatGPTを利用可能としています。2023年5月には、実際にChatGPTの活用で業務効率化が可能なのかを検証するため、ブレインパッドと共に、生成AIを用いた業務変革や新規ビジネス開発のサポートを行う「生成AI研究ラボ」の設立を決定しました。
その後、2社で検証を進め、7月25日に全社員へのChatGPT導入を開始しました。利用が拡大した後には、議事録の作成や文章の要約、一部の調査業務などでの利用が中心になると想定されています。
パナソニック コネクト
パナソニックグループで、BtoB向けのソリューションサービスなどを展開するパナソニック コネクトは、独自のAIアシスタントサービス「ConnectAI」を開発し、国内の全社員に対して提供しています。9月からはChatGPTと社内データを接続し、10月以降はカスタマーサポートにも活用する予定です。
文書作成やプログラミングなどへの利用のほか、難しい用語の言い換えやアイデア出しなど、ConnectAIの使い方は多岐にわたります。「プログラミングで必要な事前調査にかかる時間が3時間から5分に短縮された」「社内アンケートの分析にかかる時間が9時間から6分になった」などの効果があがっています。
サイバーエージェント
メディアや広告事業を展開するサイバーエージェントは、デジタル広告運用の作業時間の大幅削減を目指して「ChatGPTオペレーション変革室」を設立しました。広告オペレーションにChatGPTを活用して、作業時間短縮を目指し、さらなる効率化に取り組んでいます。
まずは、社内コミュニケーション効率化のために導入し、広告オペレーションにかかる月間約23万時間のうち、30%の約7万時間の短縮を目指しています。
大和証券
証券会社の大和証券では、全社員約9,000人に対してChatGPTの利用を開始しています。ChatGPTの導入によって、英語での情報収集や資料作成の効率化、企画書の文章作成・プログラミング作成などの時間短縮、さらにはChatGPT活用のアイデアの創出が期待されています。
日本情報通信
日本情報通信は、社員の生産性向上や業務改善のためにChatGPTの利用を全社展開しました。業務の質向上と、作業時間短縮によるコア業務への集中が期待されています。
導入にあたって、ChatGPTを利用する際のガイドラインを定め、新入社員に対してワークショップを実施しました。ワークショップでは、有効なプロンプトの設定や、利用にあたっての注意点の理解を促しています。ChatGPTの導入によって、リモートワークを行う社員が多い中、すぐに必要な知識やアイデア、ヒントを従業員が簡単に得られる環境を構築できると考えられています。
コムニコ
企業のSNSマーケティングを支援するコムニコは、生産性向上と制作物の質向上を目指してChatGPTを導入しています。コンテンツ制作に必要なリサーチ、画像や文章生成の時間短縮、新サービス開発や顧客対応などのコア業務への集中などのメリットが、ChatGPTの導入で得られると期待されています。
アナグラム
運用型広告をメインに扱うマーケティング会社のアナグラムは、従業員の日々の業務でのChatGPTの活用を認めています。マーケティングにおいて重要な企業・事業分析、アイデア出し、コピーライティング案の叩き台作成などにChatGPTを使用しています。
参照:「ChatGPTはコピーライティングや企業分析に使える?広告業界でのChatGPT活用事例を聞いてみた| FINDERS」
自社サービスへのChatGPT活用事例6選
ChatGPTはAPI連携が可能で、さまざまなシステムと連携して利用できます。ここでは自社サービスに対してChatGPTを連携させ、サービスの機能性を向上させた事例を紹介します。
GMOペパボ
インターネット関連サービス会社のGMOペパボは、自社で提供する3つのECサービス「カラーミーショップ byGMOペパボ」「minne byGMOペパボ」「SUZURI byGMOペパボ」に、ChatGPTをAPI連携させました。
連携によって、ユーザーが登録した商品をもとに、SNS集客に活用できる文章の自動生成が可能になりました。最適なキーワードやハッシュタグも含められ、より効果的な投稿作成が可能です。
参照:「GMOペパボ、AI(ChatGPT)を活用したマーケティング支援機能をEC関連3サービスにて提供開始 ~AIテクノロジーを活用した研究・開発を加速」
NOVEL
システム開発・インターネットサービスを提供するNOVELは、ChatGPTが活用されたAIライティングツール「SAKUBUN」を提供しています。ChatGPTが活用されていることによって、ツール内で高品質な記事やSNS投稿、広告の文章生成が可能です。
参照:「SAKUBUN」
みんがく
オンライン自習室サービスを提供するみんがくは、ChatGPTが搭載されている学習塾支援サービス「作文添削専門 国語の先生のBUKA」をリリースしました。サービスには、作文や小論文の添削に活用できるプロンプトがインプットされています。
作文や小論文の添削は、先生にとって負担が大きい業務ですが、サービスの活用によって先生の業務負担軽減が可能です。先生は、生徒との対話など、人にしかできない業務に集中できるようになります。
Parame
Parameは、リファレンスチェックサービス「Parame Recruit」へのChatGPTが搭載されたAIサポート機能(β版)を追加しました。ChatGPTを活用したリファレンス結果における重要な要素の抽出、リファレンスチェックの質問内容の自動生成などが可能になり、採用担当者のさらなる業務効率化が実現します。
参照:「リファレンスチェックサービスのParameが、ChatGPTを活用した「リスク情報の自動抽出」「質問項目の自動生成」のAIサポート機能を業界初リリース」
ファインディ
IT業界に特化した転職サービスを提供するファインディは、ChatGPTを活用したエンジニア向けの職務経歴書の自動作成サービスを提供しています。以前からエンジニアは、さまざまなメディアに書かれている技術的なアウトプットやキャリア情報を集約させて、すべてレジュメに書くのに手間がかかるという課題がありました。
サービスを使えば、各メディアに点在する情報を自動で集約させ、キャッチコピーや紹介文の自動作成が可能です。今まで時間を要していたエンジニアのレジュメ作成が、数十秒程度でできるようになります。
参照:「「ChatGPT」で職務経歴書を自動作成 エンジニア転職支援の新サービス:最短20秒で完成? – ITmedia ビジネスオンライン」
まとめ
ChatGPTは、自然でクオリティの高い会話ができる、対話型AIチャットサービスです。ユーザーが入力した質問に対して高度な回答が可能で、対応可能な領域が広いのも特徴です。ChatGPTで、文章の生成・翻訳・要約、プログラミングコードや関数の作成、アイデア出しなどができ、さまざまな業務に活用できます。
ChatGPTは多くの企業で活用が検討されているものの、実際にはどのように活用すれば良いのかイメージがわかず、導入に踏み切れていないケースがあります。そのようなときは、実際にChatGPTを導入している企業の例を参考に、自社に最適な方法を検討してみてください。