【公開日:2024年4月2日】
ChatGPTが登場し、注目を集めてからというもの、生成AIは日常的に業務で使用されるようになりました。ただ、生成AIが登場する以前から、AIはビジネスにおけるあらゆるシーンで活用されていたことを忘れてはなりません。
生成AIは学習データを用いてオリジナルコンテンツを生成できるAIです。一方、生成AI登場以前から使用されていた従来のAIは、学習データに基づく結果の予測や判別を得意としています。
生成AIと従来のAIは得意分野が異なるため、用途やシーンに応じて使い分けを行う必要があります。そこで、本記事では生成AIと従来のAIの違いを紹介し、それぞれの仕組みや活用シーンを紹介します。AIを使う上での課題も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
生成AIと従来のAIの違い
生成AIは「ジェネレーティブAI」とも呼ばれ、学習データを用いてオリジナルコンテンツを生成できるAIを指します。2022年11月にOpenAIから公開された「ChatGPT」は生成AIの代表例と言えます。
ChatGPTの登場以降、Googleの「Gemini(旧Bard)」や、Microsoftの「Copilot」など、多くの生成AIが誕生しました。生成AIには、テキスト生成・画像生成・動画生成・音声生成と、さまざまな種類があり、それぞれできることや用途が異なります。
生成AIが登場する以前の従来のAIは、大量の学習データの中から適切な回答を探し、ユーザーに提示する仕組みです。人間が与えた大量の学習データに基づいて結果を予測したり、事前に決められた行為を自動で行ったりすることが、主な役割とされていました。
そのため、生成AIと従来のAIの違いを簡単に述べると、「オリジナルコンテンツを生成できるのが生成AI」であり、「オリジナルコンテンツを生成できないのが従来のAI」であると言えます。
生成AIと従来のAIの仕組みを比較
生成AIと従来のAIは、ユーザーが質問を入力してから応答するまでの仕組みが大きく異なるため、前章で述べたような違いが生じています。ここでは、生成AIと従来のAIがどのような仕組みで動作しているのかを紹介します。
生成AIの仕組み
生成AIの応答の仕組みは以下のとおりです。
「ユーザーが入力した文章を解析→入力データと膨大な学習済みデータの両方をもとにテキストや画像などを生成」
生成AIには、大量のデータから特徴を自動で抽出し、AI自ら学習する「ディープラーニング(深層学習)」という技術が使用されています。学習データからパターンや規則性を見出し、それを元に新たなデータを生成できます。そのため、生成AIは状況に応じて柔軟な判断・回答が可能なのです。
生成AIの「自然な会話ができる」「具体的なアドバイスをくれる」「同じ指示をした場合もその度に違うコンテンツを生成できる」という特徴は、このような仕組みのため生じています。
生成AIと従来のAIの活用例
生成AIと従来のAIはそれぞれ適している用途や効果を発揮する活用シーンが異なります。ここでは、生成AIと従来のAIの活用例を紹介します。
生成AIの活用例
生成AIは、コンテンツの大量生成やクリエイティブなアイデアの提供を得意としています。例えば、生成AIを使って、以下のような作業が可能です。
- メール文面や広報文の作成
- 論文の要約・翻訳
- キャッチコピー案の提案
- プログラミングのコードや関数の生成
- 営業資料の作成
- ブログ記事のテーマ提案
- WebサイトやSNS用の画像・動画生成
- 必要な社内データの抽出と分類
特に、文章だけでなくプログラミングのコード・関数を含めたテキストの生成は、生成AIの得意分野です。生成AIは新たなコンテンツの生成が可能なため、特に制作業務と相性が良いでしょう。キャッチコピー案やブログ記事テーマなどの、アイデアの提供も可能です。
従来のAIの活用例
従来のAIは、テキストや画像などの認識、予測、制御などを得意としています。例えば、従来のAIを使えば、以下の作業の自動化・効率化が可能です。
- データ入力や経理処理などの定型業務の自動化
- 手書き文字のデータ化
- リアルタイムでの会議音声のテキスト化・翻訳
- 製造現場での機械の異常検知
- 製品の不良品検知
- 顔認証を用いた本人確認
- 売上予測・市場予測
従来のAIは、生成AIのように新たなコンテンツ作成やアイデアの創出はできません。しかし、ヒューマンエラー防止や作業の自動化などには、大きな効果を発揮します。
生成AIや従来のAIを使用する際の5つの課題
生成AIや従来のAIを有効的に活用することで、業務の自動化や効率化が可能です。しかし、使用する際には注意点を把握しておかなければ、何らかの問題が生じたり、トラブルに巻き込まれたりする可能性があります。ここでは、生成AIと従来のAIを使用する上での課題を紹介します。
責任の所在が不明瞭になりやすい【共通】
生成AI・従来のAIにかかわらず、AIを使用すると責任の所在が不明瞭になりやすい点は、以前から問題視されてきました。AIが導き出した回答によって第三者が被害を受けた場合に、誰が責任を取るべきなのかが曖昧になりやすいのは、AIを使用する上での課題です。
車の自動運転が代表的な例です。AIによって、通行人や障害物を避けての安全な自動走行を可能にしますが、万が一事故が発生した際に誰の責任なのかという点は、数年前から議論され続けています。また、近年はAIを活用した企業へのサイバー攻撃も問題視されています。このようなトラブル時に、責任の所在が分かりにくいのは、生成AIを使用する上で注意すべき点です。
思考のプロセスがブラックボックス化する【共通】
AIを使用した際、回答が導き出されたプロセスがわからないという問題があります。これは「ブラックボックス問題」と呼ばれ、場合によっては大きな問題につながる可能性があるため注意が必要です。
例えば、AIの回答を参考にしたくても、AIがどうしてその答えにたどり着いたのかが不明なため、関係者に納得してもらえないケースが考えられます。また、AIが誤った回答を出していたとしても、思考のプロセスが不明なために誤りに気づかず、致命的なミスに発展する恐れもあるでしょう。
ただ、近年はブラックボックス問題を解決する方法が研究されており、解決のための技術開発が進んでいます。
導入に費用がかかるケースが多い【共通】
ChatGPTやGemini(旧Bard)など、無料で利用できるAIはあるものの、業務効率化のために自社に特化したAIを導入しようと思うと、システム開発やサービス導入が必要になるため、大きな費用が発生するケースがほとんどです。
特に、自社専用のシステム開発を行う場合は、生成AI・従来のAIにかかわらず多額の費用を要します。さらに、開発後も運用・保守・メンテナンスなどのために、外注もしくは専門人材の自社雇用が必要になり、費用は継続的に発生します。
情報漏洩のリスクがある【生成AI】
ChatGPTをはじめとした誰でも利用可能な生成AIを使う場合、情報漏洩のリスクはつきものです。生成AIに質問した内容が学習に利用され、第三者への回答に使用されてしまい、間接的に情報漏洩が発生する可能性があります。
そのため、生成AIを使用する際には、企業が持つ機密情報や個人情報の入力は避けましょう。ChatGPTの場合は「学習OFF」の設定が可能です。入力したデータを生成AIが学習しないように設定することで、入力データが生成AIの学習に利用されることによる間接的な情報漏洩のリスクを避けることが必要です。
もしくは、生成AIとAPI連携されたサービスの使用を検討しましょう。昨今、多くの企業がChatGPTをはじめとした生成AIとAPI連携したサービスを提供しています。これらのサービスは、生成AIの技術を使用しつつも、生成AIにより学習されないことが前提で利用できるサービスが多く存在します。
生成した情報が間違っている可能性がある【生成AI】
生成AIの場合、生成された回答が間違っている可能性があります。ChatGPTやGemini(旧Bard)などは学習データの中の単語の出現頻度や関連性に基づいて回答するため、必ずしも事実を述べるわけではありません。また、学習データに間違った情報や古い情報が含まれている可能性もあります。
一方、従来のAIは人間が与えた学習データの中から適切な情報をピックアップする仕組みです。生成AIのように自らアウトプットを行うわけではないので、事前準備した情報に間違いがなければ、間違った回答をすることもありません。その点では、従来のAIの方が回答内容の正確性は高いと言えます。
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ChatGPTの生成AI技術を活用して、自社のお問い合わせ履歴からQ&Aのリストアップが可能です。さらに用途に応じて、登録済みの情報から質問への回答文を生成AIボットで自動生成することも可能です。チャットボットはQ&Aを登録するだけで完成するため、チャットボット導入における手間や工数を抑えて導入できるのがメリットです。
生成AIの学習に再利用されないAPI連携による機能提供となるため、回答の元データとして用いる自社データや、ユーザーが入力した情報が生成AIの利用によって漏洩することはありません。生成AIの学習に再利用されてしまうことによる情報漏洩のリスクなしで活用可能です。
また、従来のAI技術も搭載されており、生成AIと使い分けができるのも大きな特徴です。ユーザーへの回答には従来のAI技術を活用することで、人間によるチェック済みの回答のみを表示でき、ユーザーに対して正確な回答を表示することができます。
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まとめ
生成AIは、学習データを用いて新たにコンテンツを生成できるAIで、テキスト生成や画像生成・動画生成・音声生成などが可能です。一方、従来のAIは、大量の学習データから適切な回答を探し、ユーザーに提示する、学習データに基づいた結果の予測や判別が得意なAIです。
生成AIと従来のAIには、オリジナルコンテンツを生成できるか、できないかといった違いがあります。例えば、生成AIは新たなコンテンツ生成やアイデアの提案が得意分野です。そのためメール文面の作成や論文の要約、営業資料の作成などへの利用が向いています。
従来のAIは、ヒューマンエラー防止や作業の自動化などに効果を発揮します。例えば、定型業務の自動化、製品の不良品検知、売上予測などが可能です。このように、生成AIと従来のAIは得意分野が異なるため、用途に応じて使い分けることで、有効的に活用できるでしょう。
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