【公開日:2024年7月2日】
2024年5月に、OpenAIから「GPT-4o」が公開され、話題を集めています。GPT-4oには新たな機能が搭載され、今までのモデルと比べて精度も高く、生成AIの活用に関して新たなフェーズを切り開くのではと期待されています。
本記事では、GPT-4oで進化した点や使い方、業務での活用例を紹介します。今後、あらゆる企業で業務効率化や生産性向上のために「GPT-4o」が活用されていくと予想されるため、本記事の内容をぜひ参考にしてください。
GPT-4oとは?他のモデルとの違いも解説
GPT-4o(ジーピーティーフォーオー)」は、「ChatGPT」を提供するOpenAIが発表した、新たな生成AIモデルです。その驚異的な機能から、公開後すぐにSNSを中心に話題に上がっています。
OpenAIは2022年11月にモデル「GPT-3.5」を利用したChatGPTを公開し、その精度の高さからすぐに注目を浴びていました。さらに、2023年3月にはモデル「GPT-4」を利用したChatGPTを有料で公開しています。GPT-4は、GPT-3.5よりも精度が高く、個人の利用だけではなく、企業でも業務効率化のために使用されるようになったのが、大きな社会変化だったと言えるでしょう。
これらの従来のモデルとGPT-4oが大きく異なる点は、テキスト生成だけでなく画像や音楽、動画などあらゆる形式での生成が可能になった点です。このような、テキストからテキストを生成する以外に、画像からテキスト生成など、異なる種類の情報を扱えるものを「マルチモーダル」と言います。
GPT-4oでは、「動画からテキスト生成」「音声からテキスト生成」「音声から音声生成」といったように、さまざまな形態での入力・出力が可能になり、従来のモデルから大きく「マルチモーダル化」が進みました。
OpenAIのCEOサム・アルトマンも、GPT-4oを「AIとのコラボレーションの未来へのパラダイムシフト」と言っており、生成AI時代をさらに切り開いていく存在だと期待されています。
GPT-4oと他のモデルの違い
GPT-4oと他のモデルでは、性能の高さが大きく異なります。以下はOpenAIが公開している、GPT-4oとその他の既存モデルのテキスト処理の精度を比較したグラフです。
※グラフ中の項目
MMLU (%):マルチタスクにおける言語理解能力
GPCQA (%):一般常識の質問への応答力
MATH (%):数学への対応力
HumanEval (%):プログラミングにおけるコード生成能力
MGSM (%):複数ステップの算術推論能力
DROP (f1):推論の読解力
テキスト処理における精度の高さはもちろんのこと、音声・画像などの処理も以前のモデルと比べて高い性能を持っています。
GPT-4oで進化した7つの点
GPT-4oは精度が高いとはいえ、既存モデルと比べてどのような点が進化しているのでしょうか。ここでは、GPT-4oで進化した7つの点を紹介します。
マルチモーダル機能の搭載
GPT-4oは、テキストだけでなく、画像や動画、音声を理解し、同時に処理できるのが大きな特徴です。テキストや画像などの形式を組み合わせて、出力もできます。例えば、OpenAIからは、スマートフォンで撮影された映像に何が映っているのかをAIが認識するデモ動画が公開されています。
ちなみに「GPT-4o」の「o」とは、ラテン語の「omni(オムニ)」に由来し、「全て」を意味しています。つまり、テキスト、画像、動画、音声など「全てのコンテンツ」という意味が含まれていると考えられます。
テキスト生成の精度向上
GPT-4oは、以前のモデルよりもテキスト生成能力が向上しています。より複雑な文章の理解と処理、また高精度の生成が可能で、今まで以上に自然で一貫性のあるテキスト生成が可能になりました。新たなアルゴリズムによってテキストの生成速度が向上しており、リアルタイムでの対話がよりスムーズになっています。
英語以外の言語の精度向上
GPT-4oは英語以外の言語、特に日本語における性能が大幅に向上しています。従来のモデルは、主に英語データの訓練がされていたため、日本語をはじめ他の言語の性能は、まだ改善の余地がありました。
GPT-4oは、英語以外の多言語データでの訓練が強化され、現時点で日本語を含む50種類の言語に対応し、パフォーマンスが向上しています。これにより、グローバルでのコミュニケーションを効率的かつスムーズに行えるようになると期待されています。
音声認識機能の向上
従来のモデルでは、音声認識と処理に時間がかかり、会話が途切れてしまうことが多々ありました。しかし、今回、音声でチャットする際の応答時間の大幅短縮に成功し、OpenAIの発表では平均で0.3秒程度との結果が出ています。これは、人間の返答スピードに近く、あたかも人間と話しているような自然な会話が実現します。
また、AIが話している最中にユーザーが急に話題を変えたり、新たな要求を出したりすることも可能になりました。ノイズがある場合や複数人での会話の処理、人の声のトーンの分析も可能です。
画像認識・生成機能の向上
GPT-4oは画像生成機能が大幅に向上しています。従来のモデルでは、例えば同じキャラクターの生成や、一貫性を持つ画像の生成が難しいという点がありました。
それが、GPT-4oでは一貫性が大幅に改善され、多様なビジュアルコンテンツを生成できるようになっています。この機能向上によって、デザインやコンテンツ制作でのさらなる活用が期待されるでしょう。
感情の認識・表現
GPT-4oの大きな進化の1つが、ユーザーの感情の読み取りが可能になった点です。そのため、ユーザーの気持ちに配慮した返答ができるようになりました。また、ChatGPT側でも、ある程度の感情表現が実現しています。
他サービスとの連携
Google DriveやMicrosoft OneDriveとの連携によって、直接ドライブ上のファイルのアップロードが可能になりました。これにより、ユーザーは、ドキュメントや表計算シート、プレゼンテーションなどをスムーズにChatGPTに読み込ませ、内容に関する質問やデータ分析、資料作成をChatGPTに依頼できるようになっています。
GPT-4oの3つの使い方
GPT-4oは無料版と有料版で提供されており、さらにはAPIの活用も可能です。ここでは、それぞれの使い方を解説します。
無料版
無料版でも、一定の回数まではGPT-4oの利用が可能です。ChatGPTのブラウザを開くと、すでに「GPT-4o」のモデルが選択されている状態なので、そのまま利用できます。5時間のうちに10回使用すると、GPT-4oは使用できなくなり、GPT-3.5のモデルに変更されるので、回数制限に気をつけましょう。
有料版(ChatGPT Plus)
有料版である「ChatGPT Plus」を利用しているユーザーは、ChatGPTのブラウザを開き、左上のモデル選択でGPT-4oをクリックすることで利用できます。
有料版にも回数制限があり、3時間ごとに最大80回まで利用可能です。無料版よりも制限は緩いものの、あまりにも高い頻度で利用していると使えなくなってしまうため注意が必要です。
API
GPT-4oはAPIも公開されています。APIを活用することで自社サービスへのGPT-4oの連携が可能になり、サービスのさらなる精度向上が可能です。APIの料金体系は以下の表のとおりです。
GPT-4oは、従来のGPT-4-turboと比較して、入力と出力ともに半額になり、以前よりもコストパフォーマンスが良いとして注目されています。
業務効率化につながるGPT-4oの活用例5選
GPT-4oは業務で活用することで大幅な効率化が見込まれると期待されています。ここでは、GPT-4oで業務効率化を実現する活用例を紹介します。
お問い合わせ対応
GPT-4oの技術はチャットボット開発にも利用できます。顧客や社内の問い合わせ対応の効率化のために、チャットボットを導入する企業は多くあります。GPT-4oのAPIを利用することで、高精度な技術を搭載したチャットボット開発が可能です。
さらに、音声機能の向上により、GPT-4oを使って顧客からの音声での問い合わせに対して自然な対応も期待できます。また、マルチモーダルのため、画像を送付してもらうことで、問い合わせ内容の詳細の把握と解決策の提示がしやすくなり、カスタマーサポートにおける業務効率化が可能になるでしょう。
リアルタイムでの翻訳
GPT-4oでは音声認識機能の向上と、高精度での多言語対応が可能になったため、リアルタイムでの翻訳への活用が可能です。実際に、OpenAIが公開しているデモ動画では、二者間での会話において異なる言語を同時通訳し、スムーズな会話を成立させています。
将来的には、ビジネスや国際交流の場面で、シームレスなコミュニケーションが実現し、価値を発揮すると考えられます。
書類のデータ読み取り
GPT-4oの画像認識機能の向上から、OCRのような活用も可能です。手書きのイラストからのスライド図表作成、請求書や見積書などの紙書類のデータ読み取りなど、さまざまな場面で効果を発揮します。
コンテンツ制作
テキスト、画像、動画の認識・生成機能の向上、また英語以外の言語処理能力の向上により、コンテンツ制作への活用が可能です。音声での指示で、テキスト生成や内容に合った画像の生成を行うなど、制作フローの自動化ができ、ブログ記事やレポート、プレゼン資料などの作成が大幅に効率化されます。
データ分析
GPT-4oは、感情の読み取りが可能になったため、顧客の声を効率的に分析するツールとして活用できます。例えば、特定の商品のレビューテキストから感情を的確に読み取り、自動でポジティブな評価とネガティブな評価に分類することが可能で、商品改善・開発に活用できるでしょう。
ChatGPTでの業務効率化について知りたい方は。【2024年最新】ChatGPT業務効率化の王道パターン9選とAIチャットボットへの活用(用語集付)をご覧ください。
まとめ
ChatGPTの新モデル「GPT-4o」は、以前のモデルより大幅に認識能力や処理能力が向上しました。しかも、テキストだけでなく、音声・画像・動画に対応するマルチモーダルAIへと進化しています。
GPT-4oを活用すれば、チャットボット開発や翻訳、コンテンツ作成などさまざまな業務への活用が可能です。ただ、実際にはチャットボット開発には専門的な知識が必要でハードルが高いため、GPTモデルが搭載されたチャットボットサービスの導入をおすすめします。
「hitobo」は、ChatGPT API連携がされたAIチャットボットサービスです。
すでにGPT-4o mini のAPI連携の対応もしており、ChatGPTの高度なAI技術を活用して、Q&A自動生成機能を利用できます。自動作成したQ&Aをhitoboのツール上で最終チェックし、そのままチャットボットが自動応答するためのQ&Aに登録できるため、問い合わせ対応業務を大幅に効率化できます。ユーザーには担当者が事前に確認済みの回答を表示でき、誤回答による混乱を招く恐れもありません。
生成AIを活用しての、問い合わせ対応の効率化を目指している方や興味のある方は、以下から「hitobo」の資料を無料でダウンロードできますので、ぜひご覧ください。